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絶対音感よりも絶対調性感

2016/07/18
category - 未分類
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 世間で、絶対音感が、とか言うけれど、電子楽器世代で子供の時からずっと完全固定の音程を聞きなれてきた者なら、440Hzはもちろん、その他の音程も耳でわかるに決まっている。自分の楽器のチューニングに音叉なんかいらない。

 ところが、日本のピアノは、442Hz。電子楽器に慣れていると、ピアノは、キンキン声の、昔、大嫌いだった音楽の女の先生を思い出させる。おまけに、こんなピアノのせいで、オケではヴァイオリンなども442Hzに合わせないといけない。しかし、これがかえってできない。この2Hzが耳でわからない。いや、微妙にピッチが高い、ということはよくわかるのだが、2hz、つまり、1~3Hzの程度がわからない。(もとよりピアノでチューンするのは、ものすごくやりにくいんだよ。打音とペダルによる残響音でピッチが違うし、ワウっているのを調整している間に、減衰してしまって、ワウっているのかどうかも、わからなくなる。オーボエやポータトーンの方がずっとまし。)

 しかし、この442Hzなどという半端なピッチは、日本のクラシック業界の方言みたいなもので、日本以外ではあまり使っていない。英国その他はオーケストラでも440Hz。ところが、戦後のドイツ・オーストリアだけは、446Hzなどと、かってにバカみたいに高いピッチを使いたがる。これくらいになると、へたに絶対音感があると、耳障りで仕方ない。70年代、80年代、世間では、これまたバカみたいにカラヤンをほめそやしていたが、当時から私は大嫌い、というより、プロのくせに、音程、くるってるじゃん、耳、おかしんじゃね、と思っていた。ビートルズも苦手。ジョンレノンがどうこうというけれど、もとより440じゃないじゃん。もっとずっと高いよ。

 年来の研究、物理的に音程の変わらない音叉やパイプオルガンなどから、1939年のロンドン会議でA=440Hzと決められる以前のピッチについていろいろ調べられているが、むしろバラバラで、それも同じ町でも時と場合(教会か室内楽か)によって、ぜんぜん違うピッチが用いられていた。とはいえ、概して440より高かったことは一度も無い。へたをすると今より全音も低かった。

 知ってのとおり、オクターブで数字は半分、または倍になる。その間を12音階の平均律で割っている。これだと、移調が簡単にできる、ということなのだが、倍音の多い楽器、ピアノみたいな長弦楽器だと、違和感がある。ペダルをかけたとき、上の方でへんなモアレみたいなワウりが出ているのがわかる。倍音が一致せず、かといってうまくすれ違いもせず、妙に一致するところがあって、ウァンウァンと、そこだけコーラスをかけたみたいになる。それも、音によって、ワウる倍音の高さがまったく異なって飛ぶので、ひょっこひょっこ。弦楽器がフレットレスなのは、このあたりをうまく耳と指先で調整して抑え込んでいるのだと思う。

 クラシックというと、日本ではやたらピアノのイメージが強いが、どう考えても、あれは音響について半可知の時代の半端な過渡的楽器だと思う。一言で言って、楽器自体の音が汚い。電子楽器みたいにがっちり数字で割り切って倍音調整までやってしまうか、弦楽器や管楽器のように人間の微細な感覚で倍音調整をやるか、どっちかでないと、あの濁りが、かえってわからなくなって、調律師だのみになってしまう。しかし、それは自分自身の耳では音を聞いていないのも同然。

 基音のみの楽理を学ぶならともかく、ほんとうに耳を鍛えて演奏を磨くという意味でいうのなら、ピアノから始めるより、電子楽器か、弦楽器や管楽器から始めた方がいいんじゃないだろうか。倍音まで聞く耳からすれば、音楽は、ピッチや平均律で簡単に移調なんかできるものではなく、それが作られたときの、作曲家本来の調性が無意識に入りこんでいて、一般に440よりずっと低いところで、もっとも豊かに倍音までうまく響くようにできている。しかし、作られたときの音程がバラバラだった以上、それは、杓子定規の数字では決められない。むしろ音楽そのもの響きの中にのみ、その曲本来の、あるべき音程を解く鍵がある。それを自分の耳で聞きだして、そこにチューンできてこそ、演奏家なんじゃないだろうか。
                                 
                                      

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