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『砂の器』と業病

2011/09/11
category - 未分類
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遺族って、たしかに版権者だろうけど、作品の人格権にまで手を出して、かってに改変、それも作品の核心をいじっていいのだろうか。そりゃ、超音波殺人、なんていうちんけなところはどうでもいいけど、人間の「業(ごう)」は、この作品のテーマそのものでしょ。そうじゃないと、なんで三木巡査の養子にならなかったのか、わざわざ戸籍偽装したのか、わけがわからない。親が殺人犯だ、なんて、そんな程度のことを人を殺す動機として共感しちゃっていいわけ?

ここをいじっておいて、ただ音楽で盛り上げて、泣け、ったって、うさんくさいだけ。ハンセン病の問題は、『聖書』はもちろん『ベンハー』や『もののけ姫』にだって出てくる。小説から消したって、歴史から無かったことにはできない。それこそ、いまだに後ろめたい、差別心があるからじゃないのか? 以前、熊本にいて、過去のひどい隔離政策のことは、しばしば学ぶ機会があったが、なんで正面から向き合う勇気がないんだ? 映画版では、ちゃんとやったじゃないか。

こういう軽薄なテレビドラマ化をやればやるほど、よけいに腹が立つ。生まれ育ちの「業」こそ、半生を底辺に生きてきた松本清張の怒りであり、この代表作の執筆動機だろう。遺族は、作品をドラマ化して、あたりさわりなく大金が入れば、それでいいのか? 故人の遺志を踏みにじって、なにが遺族なものか。
                                 
                                      

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