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木村伝兵衛と紅林麻雄

2010/07/28
category - 未分類
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 つかこうへいが亡くなって、彼の作品が再注目されている。だが、彼の作品にはモデルがあることを忘れてはならない。1980年の『蒲田行進曲』のヤスのモデルが東映京都の汐路章であるように、1973年に初演された『熱海殺人事件』の主人公、木村伝兵衛にもモデルがいた。紅林麻雄。静岡県警警部。1963年に、彼が捏造した被告に無罪判決が下され、職を退かされるまで、やりたい放題のとんでもない捜査を行って、五百回を越える表彰を受けていた。

 拷問によって、むちゃくちゃな自白を引き出していき、つじつまが合わなくなると、犯人をみんなミステリーマニアということにして、どれそれの小説や映画の参考にトリックを使ったのだ、と言って、みごとにそのトリックを暴いてみせた。だが、トリックのネタ暴きなど、本人こそがミステリーマニアでなければできないことだろう。

 そして、芝居よりすごいのは、紅林警部の拷問と捏造を、部下の巡査の一人が新聞に告発したことだ。この巡査は懲戒免職とされ、狂人として社会的に抹殺され、家まで焼かれてしまう。だが、元刑事の老人とともに、地道な捜査を重ね、ついには、真犯人と結託した紅林の悪行を知り、トリック暴きのトリックを法廷で明らかにする。これが実話だ。
                                 
                                      

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